市場の混乱と不安定な取引状況は8月に入っても衰えることなく続いている。金は、米ドルの相対的な強さ(あるいは弱さ)と、FRBによる8年以上ぶりの利上げの可能性を示す指標としての長期金利の動きに大きく左右されて取引された。ロシアとウクライナの敵対関係や、イラクにおける米国の暴言のエスカレート、さらには直接的な行動も、相場には短期的な影響しか与えていない。そのため、全体的に市場は1275米ドルと1330米ドルの間のジリジリとしたレンジに落ち着いているようだ。
米ドル金チャート 2014年7月-8月

ソースブルームバーグ
銀は6月下旬から7月上旬にかけての投機的な上昇の大半を戻し、金と銀の比率は65.50:1前後と、より通常の平均的な水準に落ち着いた。金と銀の比率は65:50:1程度に落ち着き、金と銀の比率は通常の65:50:1の水準に戻った。
米ドル銀チャート 2014年7月-8月

ソースブルームバーグ
プラチナとパラジウムも同様に砲火を浴び、870-880 米ドルの水準で無敵と思われたパラジウムのポジションがついに崩れ、840 米ドルのサポートまで下落した後、回復の兆しを見せた。ここでも、インターバンク市場や上場投 資信託(ETF)ではなく、米国市場の先物ポジションが主因のようだ。北半球のこの時期特有の出来高の少なさにより、価格への影響は深刻だ。
カルパース(カリフォルニア州の巨大年金基金)がコモディティ分野のロング・ポジションを再考しているとされる一般的な話は、すでに苦境に陥っていた市場に自信を与えるものではなかった。
これらすべての市場には、現在の水準で支持を見つけようとする圧力がかかっており、最終的な結果は、さらなるニュースや9月後半に幅広い市場のプレーヤーが戻ってきたときの方向性を待って、現在定義されているレンジ内での統合となるかもしれない。
米ドル・プラチナ・チャート 2014年7月-8月

ソースブルームバーグ
ドルパラジウムチャート 2014年7月-8月

ソースブルームバーグ
文:マイク・ウォード初出はジュエリー・ワールド誌2014年8月号。